大手による再編が進む調剤薬局市場

厚生労働省の資料によると2010年度の調剤金額はおよそ6兆円となっています。全国の国調剤薬局の数が5万3000であることから、単純計算で行くと調剤薬局一店舗あたりの年商は1億円ちょっととなります。調剤の粗利益は約27%ですので、約2700万円となりますが、ここから人件費等の費用を差し引くので、薬剤師を二人採用すれば一杯一杯です。

さらに調剤報酬が伸び悩み傾向にあり、2012年度の医療費改定で調剤は0.46%引き上げられましたが、薬価の引き上げを加味すると実質マイナス改定です。医薬品の一括購入や、ICT活用で業務の効率化を行える大手薬局はコストを抑えながら、M&Aなどを行うことにより活路を見出していますが、中小規模の調剤薬局は大変です。

中小の調剤薬局には「地域密着」という大手には無い強みがあります。長年地元で薬局を経営し、数年ごとの人事異動もないため、患者の病態や生活環境等を理解しなんでも相談してもらえるという距離感の近さがあります。かかりつけ薬局という言葉がありますが、患者が求めているのはかかりつけの薬剤師なのです。

調剤のみに依存する経営体質の改善も必要です。調剤薬局は患者が処方箋をもらったときにしか来ないという特性があるため、病気が治癒すれば用はなくなります。しかし、これからの日本は高齢化が進み、明確に病気とはいえない「未病」段階の人が多くなるため、半健康人を以下にケアしていくかが生き残りのカギとなるでしょう。

医療機関と薬局が情報を共有する電子処方箋

医療のIT化を促進させるため、現在の「紙」から「電子化」した処方箋を導入するための検討が始まっています。現在の紙の処方箋では、処方内容のみが記載されていますが、電子処方箋はその患者の病名や臨床検査の具体的な数値が把握できるため、薬剤師による服薬指導や薬の相互作用の確認が簡単になります。また、処方を行った医師には調剤情報と服薬指導情報がフィードバックされるので、双方の情報共有化を図ることができます。

患者も服薬情報が蓄積されることで、長年に渡って健康管理に役立てることができます。また、製薬企業が医薬品を開発する際にも、患者ごとの情報が蓄積されていれば、非常に有用です。さらに副作用による健康被害の把握、回収作業の迅速化、効率化も期待できます。

香川大学医学部附属病院と同県の保険薬局が参加して行われた電子処方箋ネットワークの実証実験「Pharma WEB」が、2010年から1年間行われ、予め患者情報が把握できれば、服薬指導の内容も格段に向上するなどの効果が確認されています。

病院の療養病床再編の必要性

家庭や福祉施設に患者をケアする受け皿が無いという問題に加えて、1973年に老人医療費が無料になったことが後押しするかたちになり、家庭や施設での看護の代わりに病院への入院を選択するという、いわゆる「社会的入院」も問題となっています。(老人の医療費無料制度は1983年に廃止)

社会的入院の患者が病床を占めると、ケガや手術で入院が必要な患者の入院が困難になることや医師や看護師不足が指摘されるなかで、医療をの必要性がそれほど高くない患者が医療従事者を占有してしまうことになり、医療機関の業務が回らなくなるということになります。

また、社会的に入院は、入院患者本人にとっても本来必要とされる医療サービスとは異なるサービスを受けざるを得ないという状況を生んでおり、患者本人の生活の質の向上のためにも、より適切な施設においてサービスが受けられるようにすることが求められています。